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松岡建築設計事務所のテクニカル 超長期住宅先導モデル (特にSE構法の場合)

構造計算の定義と流れ

構造計算について

構造計算が必要な建物の条件
1. 2階建て以下で、延べ面積が500平方メートルのもの。
2. 高さが13メートル、軒高が9メートルを超えるもの。
3. 木造以外の建物で、2以上の階を有し、延べ面積が200平方メートル(60坪)を超えるもの。
4. 病院、学校のような特殊建築物で延べ面積が100平方メートル(30坪)を超えるもの。

構造計算とはなにか?
1. 許容応力度計算(ルート1) 2. 許容応力度計算(ルート2) 3. 保有水平耐力計算(ルート3) 4. その他(限界耐力計算・時刻暦応答計算) ただし、一般的な木造住宅にみられる『壁量計算』は、ここで言う『構造計算』と呼ばない。

構造計算の流れと分類
[建物の重さを調べる]

[建物の床に載せる物を想定]

[積雪時の屋根にかかる荷重を想定]

[グランドピアノやウォーターベッドなど特殊なものを確認]

[以上の合計を集計する]

[それにより、当該建物にどのような重さ(下向き)が伝わるか調べる]

[その伝わる重さに、当該建物に使われる材料が耐えられるか検討する]

[地震が来た時に加わる力を当該建物の重さから換算する]

[台風が来た時に当該建物に加わる力を調べる]

[地震や台風のときに当該建物に加わる(横向き)力に材料が耐えられるか調べる]
ここまでが、許容応力度計算(ルート1)と呼ぶ。

[地震・台風それぞれの場合に建物がどれくらい傾くかを計算する(層間変形)]
1/120〜1/200以上の傾きを[ 損壊 ]とみなす。3メートルの柱で傾きが1.5cm以内しか傾かせない。

[建物の上下階の硬さのバランスを調べる(剛性率)]

[建物の重さと硬さが偏っていないか確認する(偏心率)]
ここまでくると(ルート2)と呼び、構造計算され建物として評価される。
もちろん、[ 倒壊 ]もしない。

更に、大地震の時に、多少傾いても内装が壊れても全壊しないかを調査する方法が【保有水平耐力計算】(ルート3)と呼ぶ。

建物の重さ
例えば、約40坪の建物は、約40トンの重量がある。
加えて、屋根に1メートルの積雪がある場合は総重量が約58トンにもなる。

地震のときに加わる力
震度五程度の規模でも、その家に加わる横の力は約八トンになる。
地震力は、おおよそ建物重さに比例する。

台風のときに加わる力
高さ10メートルほどで、風の受ける面の長さが3.5間(6.4メートル)の建物には6トンほど(風速30〜40m/S)の力が横向きに加わる。
構造計算した建物は、それでも3メートルの高さに対して1.5cm以下しか傾かない。

誤解を生む木造の耐震基準壁量規定
2階建て以下で、延べ面積が500平方メートル以下なら、どの木造住宅でも前記のような構造計算は必要ない。
しかし、【仕様規定】なるものがあり、これが木造住宅の耐震性の基準にもなっている。
それが、【壁量規定】と呼ぶのである。
例として【壁量規定(地震時)】は
[建物の床面積を計算する]

[A:必要な筋交いの長さと、床面積を掛け算する]

[B:実際の建物の壁と筋館の量を数える]

[AとBの値を比較してAよりもBの値が多くなるように検討する]
そもそも、以上の規定は当該建物の重さに関連しないし、地震時の変形量も考慮にいれていない。

構造躯体の耐久性

最も大切な一つの主たる柱は下図に示す柱脚金物で基礎に直接接合します。そのため、長期荷重による柱への土台のめり込みを排除した構造といえます。また、柱は土台とは分離されて基礎に締結するので、万一土台部分に不朽が発生した場合でも、柱に不朽が伝播することが少ない構造になります。柱脚金物の防錆処理はリン酸亜鉛処理したカチオン電着塗装で保護され、腐食が起こりにくい製品です。
さらに、基礎幅は170mm を標準とします。外壁通気層工法を採用して、屋根、外壁には、その下地を耐水合板及び断熱材の一種である押出法ポリスチレンフォーム保温板3種で施工し、継目を気密テープで処理することで、屋根、外壁の通気層の下地表面に連続した防水・気密ラインを形成します。そのことにより、屋根・外壁の仕上げ材及びコーキングの劣化による躯体防水性能の低下を排除しています。

外壁通気工法の断面概念図

変化に対応できる良質な居住空間

木質ラーメン架構と耐力壁で構成する木質準ラーメン構法【SE構法】の場合は構造設計を行い、6メートル以上のスパンをもった空間構成が可能です。その範囲内で空間構成に可変性を持たせることができ、超長期に必要な将来のライフステージに適合させることができます。 竣工引渡し書類に構造計算書(耐力壁図面)と設備図、施工業者リストも含まれます。そのため、すまい手自身の成長や社会・環境の変化に伴って求められる機能が変化した場合や、オーナーチェンジによる増改築・リノベーションが必要になった場合に、構造計算書(耐力壁図面)と設備図に基づき、計画は容易に行えます。下図はその事例を示します。

青葉の姫林檎の変化進化図面

省エネルギー対策

断熱性能、気密性能などの指針である、財)建築環境・省エネルギー機構(IBEC)から取得した省エネルギー対策等級4(W地域)に基づき、弊社標準施工図に即して現場の施工を行い、かつ全棟熱損失係数(Q値)、日射取得係数(μ値)の計算と減圧法による気密測定を実施し、その性能を検証しています。

記録の作成及び保存など

長期間にわたって住宅の性能を担保していくと同時に、瑕疵保証保険証、地盤補強保証書に加え、住宅性能報告書を作成して、住宅に関する記録(竣工引渡し時点でのデータ・保守点検記録など)についても履歴情報として保管しています。また、意匠設計図や構造関係図書およびプレカット図面もデータ保管しています。

電子申請・電子図書保管システム概念図

出典:国土交通省 記事『住宅履歴情報の整備検討について』より

「200年住宅」の普及へ、国が始動

「超長期住宅先導的モデル事業」が実施に

国が「200年住宅」の普及に本格的に乗り出しました。
130億円の国費を助成金として支給するモデル事業もスタート、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」も国会で審議中です。
住宅対策は「ストック重視」へ、今大きな転換点を迎えました。

1 「200年住宅」の普及支援策とは

「長期優良住宅」を国が推進
 イギリス75年、アメリカ44年、日本26年一住宅の平均寿命の比較です。(「建設白書」国土交通省 1996年)。日本は極端に短く、それが資源の無駄づかいや、住宅ローンを各世代が負担することによる暮らしのゆとりの喪失として問題視され「住宅の寿命化」に向けた動きが始まっています。08年春の通常国会には「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」も上程されました。

 この法案は「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が、その構造お呼び設備について構じられた住宅」を特に「長期優良住宅」として認め、その普及を支援するために、財政上・金融上等の措置を講ずることを定めるものです。

 また、「先導的モデル事業」もスタートしました。これは「200年住宅」の普及を促進するため、そうした住宅にふさわしい先導的な提案を行っている住宅事業に対して、国が補助を行うというものです。

「ストック重視」の背景
 住宅の超寿命化が目指される背景にあるのは、(1)地球環境問題が深刻化するなか、資源の無駄づかいを抑えるべきこと、(2)一世代ごとに住宅を建て替えることによる経済的負担を解消し、より豊かな生活を実現かしていくべきこと、の2点です。そうした観点から、06年には「ストック重視」をうたった「住生活基本法」が成立、07年5月には自民党の「住宅土地調査会」が「200年住宅ビジョン」を公表し「超長期にわたって循環利用できる質の高い社会的資産としての住宅(200年住宅)」の建設を目指すべきことを訴えました。

「200年住宅」とは何なのか

 それにしてもなぜ「200年」なのでしょうか?
 「超長期住宅先導的モデル事業」を担当している国土交通省住宅局市街地建築課の市街地住宅整備室長、伊藤明子さんはこう語っています。
 「200年というのは、今からさかのぼれば江戸時代後期です。それほど長い。一軒の家が、代々住み継がれていくとは限りません。売買されたり、貸し出されたりする場合がかならず出てきます。つまり200年という長さで見れば、住宅は市場に出され社会的な評価にさらされると考えなければなりません。200年の長寿命というのは、単なる時間の長さではない。市場できちんと評価され、売ったり貸したりすることができるという、社会的にも、個人的にも資産となる住宅だということを意味しているものと受け止めています」

「長期優良住宅」の基準
 今、法案が審議されている「長期優良住宅」とはどのようなものなのか、具体的に見てみましょう。  「長期優良住宅認定案」については、08年5月の社会資本整備審議会(国土交通大臣の諮問機関)に国土交通省が基本となる素案を提案しています。(下表参照)。

 先に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって任意の制度として導入された住宅性能表示制度の項目や等級に準じて、備えるべき性能を明らかにすると同時に、維持管理の方法、基本となる床面積などにも言及しています。この案は、法案成立後、施行までの間に具体化されることになっており、現在は、アウトラインのみです。

2 「200年住宅」普及支援策の概要

どんな支援があるか
 「200年住宅」の普及支援策として、現在内容が明らかになっているのは、表の1〜4です。法案成立後、詳細が決定されますが、1番目の税負担の軽減についてはすでに概要が決定しています。(5ページ表参照)。また「先導的モデル事業」は、実施中です。住宅履歴情報の整備については、実施に向け、まず「共通の用語を決める」という作業が進められています。

 

 「建てた人がずっとメンテナンスするとは限られず、それとは別の人が手を加えて住宅として維持することも十分に考えられるわけですから、誰でも分かるように当初の性能やメンテナンスに関する情報を確実に蓄積して、いつでも活用できるようにしようということです」(伊藤室長)

3 「超長期住宅先導的モデル事業」とは

1.モデル事業の要件と補助内容
「超長期住宅先導的モデル事業」は、08年4月から実施されています。この事業は、先の「優良住宅認定基準案」とほぼ同内容の基準を満たし、さらに、モデル事業として啓発の効果があるとして採択された「先導的」な新築住宅の建築や既存住宅の改修、維持管理システムについて、資金面で援助しようというもので、総額130億円が用意されています。今後5年程度継続される予定です。

 すでに第1回目の募集が行われ、08年7月には603件の応募の中から40件がモデル事業として採択されました。第2回の募集も8月に実施されています。モデル事業として採択されれば「200年住宅」を提供する技術力や維持管理体制を持っていることのPRのもなり、消費者から大きな信頼を得ることが出来るでしょう。

2.モデル事業で高まる長寿命住宅への関心
モデル事業として第1回の採択を受けた40件は「戸建ての新築住宅」が24件と全体の60%を占め、「新築の共同住宅」が5件、「既存住宅の改修」が、4件、「維持・流通」が5件、「技術の検証・情報提供」が2件、という内訳でした。また、戸建ての新築住宅では、全国展開している大手ハウスメーカーや地域の有力な工務店グループなどの提案が多く採択されました。

 こうしたハウスメーカーや工務店では「200年住宅」対応であることを積極的に広報しており、今後はそのような動きがさらに広がると予想され「超長期住宅先導的モデル事業」あるいは「200年住宅」についての消費者の関心は高まっていくと見られます。そのため、自社がどのように耐久性に配慮した建て方をしているのか、そしてどのようなシステムと体制で建築後の住宅を見守っていくのか、その内容を積極的に消費者に示していくことが必要になるでしょう。先の伊藤明子室長も次のように語っています。

 「工務店の方々が担ってきた地域に根ざした建て方というのは非常に大切だと思いますが、今後の住宅供給を考えると、建築という物理的な技術以外に、維持管理・流通といった社会的な技術も求められるようになります。造って終わり、というわけではありません。今でも工務店の皆さんはお客様とずっとお付き合いをされてきたいと思いますが、それを今後は、履歴を残すような形で系統的に進めていくことが必要になると思います。実際にやっていらしたことを形に残していただくということですね」

 訪れた「ストック重視時代」のなかで、お客さまに何をどのようにアピールするか、新たな視点で振り返る時がきているようです。

『INAXエクスプレス INAXからの情報誌特急便 2008年秋号より』